2015年1月9日金曜日

音楽プレイヤー

電車の中でとあるブログを読んでいて、音楽プレイヤーのことをいろいろと回想していた。思い出したついででブログに駄文をかいてみようかと。

はじめてのCDラジカセは小学生時代に親に買ってもらったと思う。でも、思い出すのは中学生の頃に手に入れたポータブルMDからでいいかな。

ポータブルMDをはじめて見たのは従兄弟の部屋でだった。従兄弟はソニーの初代カセットウォークマン、MDウォークマンを持っていた。音楽の記憶メディアといえばテープが当たり前の時代にランダムアクセスができるディスク。すごい、かっこよかった。

中学2年のときにアマチュア無線局を開局した。あの一年は時間さえあればひたすら 50MHz で交信していた。一年間で QSL カードのやりとりが500枚越えていた気がする。まあ、365日で500枚だったらそれほどハイペースでもないけど、今はアマチュア無線人口少ないだろうから一年で500枚交換するのはけっこう大変なんじゃないだろうか。突然アマチュア無線の話をしてるけど、私が手にした最初のケンウッドのポータブル MD は ALL JA コンテストかなんかで抽選にあたって送られてきた物だった。当時の CQ 誌を掘り返せば当選者として私の名前が載っている。

あまり音質に興味がなかったので ATRAC が音質悪いとかどーとかいうのは、あまり興味なかった(今あらためて使うとやっぱり音質悪いな)。ケンウッドのポータブルMDはけっこう大事にしていたんだけど、中学校に何かの理由で持っていった際に、帰りがけに地面に落としてイジェクト操作がひっかかるようになった。親が修理に出してくれたので、その後も使っていた。

高校に入学するタイミングで、なぜか母親にVictorのMD/CDコンポを買ってもらった。私は、先の理由からポータブルオーディオは完全にMDに移行していて、カセットテープを使うことはなくなっていた。私が持っていたコンポは、ラジカセといえば大量にボタンがついている製品がまだ多かった中、1997年当時でありながら、MD/CDだけですごくシンプルなデザインが気に入っていた。

 この頃になると世の中はエヴァンゲリオンとか小室ファミリーとかが盛り上がっていて、先進的(?)なユーザはMP3をインターネットからダウンロードしてきてジュークボックスが充実しはじめる前夜。はじめて MP3 を再生したときは衝撃的だった。たった数MBであの音質の音楽が保存できるだなんて。必死にCD-DAをリッピングしては Pentium Pro 200MHz で L3ENC を走らせ、WinAmpで聞いたりしていた。今の自分のオーディオライブラリで一番古いのはそのへんの音源。

この頃に衝撃を受けたのが empeg というスタートアップ。ある日、インターネットを徘徊していたら、車載用の MP3 プレイヤーを作っている人の日記を見つけた。PowerPC かなんかのプロセッサを搭載して、ハードディスクに何千曲も保存できるカーオーディオ。



まだカーオーディオといったらラジオ、カセットテープ、一部の車はCDが再生できるという時代で、MP3プレイヤーなんてものは電気屋に売ってなかったと思う。そういう状況で、MP3をカーオーディオに使うという empeg の発想に、この人は今までにないものを作ってる、と感じた。しかし、そのとき一番仲良しだった奴に「俺、車買ったらコレ付けるんだ」と言ったら、バカにされた。

「そんなの付けてどーするんだよw」


その後、私の地元、名古屋の電気街 大須でも、フラッシュを使った MP3 プレイヤーをよく見かけるようになり、 Apple は iPod なるものを発売した。 iPod の最初のモデルは 5GB 、第二世代では 10GB 。これまた衝撃。自分はそう多く音楽聴かないけど、自分が持っている音楽データを全て持ち歩けるだなんて。

10GB の iPod が発売された頃、私は初めて IT 系のバイトをしていた。 Ultima Online を通じて知り合った人がゲーム会社をやっているという。打ち合わせのためにその会社にお邪魔すると、竹内さんというディレクターがバイトの内容を説明してくれた。 いわゆる milktub の bamboo 氏だった。

初めてコンピュータスキルで稼いだバイト代を握りしめて、最初に買ったのは液晶ディスプレイ、そしてはじめての Apple 製品として iPod 10GB を買った。 2002 年、第二世代 iPod はまだ IEEE1384 にしか対応しておらず、手元の Windows マシンには直接接続できなかったので、 Logitec 製の 1384 カードをそのためだけに追加した。初めて買った iPod は確か79,800 円した。たかが音楽プレイヤーのためにあんな額出した自分には割と信じられないけど、自分のライブラリがポケットに入るのはやっぱり魅力的だった。同級生の女の子に「タケシがそんなのに興味もつなんて、意外だね」と言われた。失礼だなあと思ったけど、実際、自分でも意外だった。

iPod (Classic)はその時点で音楽プレイヤーとして完成していたけども、とてもストレスな点があった。ホスト側のプログラムだ。 iTunes には何も不満はない。私が iPod を手にした頃は、まだ iTunes が Windows に上陸していなくて、 Sony かどっかの MusicMatch とかいう名前のクソ使いづらいソフトウェアのアドオンとして iPod に曲を転送するクソ仕様だった。

MusicMatch は本当にひどかった。 iPod を IEEE1394 で接続した後、1分ぐらいフリーズして、それから曲の同期がはじまった。たかだか曲を転送するために1分待たないといけないのは本当に鬱陶しい。しかも iPod のファイルシステムは FAT で、普通に MP3 ファイルがコピーされているんだから、なんとかならないものか。 iPod のインターフェイスはあんなにシンプルなのに、曲をドラッグ&ドロップで登録できない iPod には、すごい苛立っていた。

調べたら、 gnupod という名前の iPod 転送ツールが Perl ベースであることが判った。 iPod 上にある iTunes データベースファイルと gnupod のソースコードから、 Delphi ベースで iPod 上のデータベースを再構築するプログラムを作りはじめ、一週間後にはとりあえずドラッグ&ドロップすると曲を iPod に転送できる自作ツールが誕生していた。

ID3タグぐらいならフォーマット情報やライブラリはゴロゴロしてるだろうけど、ただ曲長を決定したいがためだけにMPEG 1.0 Audioのフレームを自前で解析したりしていて、あまりプログラムを書い ていない私としては割と頑張った自作プログラムだった。ドラッグ&ドロップが快適になるように GUI スレッドとワーカースレッドを分けるなど改良して楽しく過ごしていた、が、ある日 iTunes の Windows 版がリリースされ、これなら純正ツールを使えばいいと思ったので、そこで開発はほぼ打ち切った。

この頃になると例の empeg は買収されて Rio ブランドになっていた。私が MP3 カーオーディオが欲しいと話したのを大笑いした彼は、初代 MR2 を中古で入手し、私より先に MP3 HDD プレイヤーを車に載せていた。

2004年、就職した後でカラー液晶つきの 4G iPod に乗り換え、2006 年には出張先の新潟市で iPod が壊れて、現地のビックカメラで 5G iPod を買った。今でも 5G iPod は健在だけど、120GB 程度の容量だと、今では iPad mini のフラッシュ容量のほうが多いぐらいなので、 2014 年になって、 iPad mini の 128GB モデルを買って iPod Classic の持ち歩きはやめることにした。

MDもMP3オーディオもかなり早い時期から触っていた方だと思うけど、特にiPodはプログラミング含めて、とても楽しいデバイスだった。10年ちょっとの間、ありがとう。