2024年3月9日土曜日

BOSE SoundBar 900 のメンテナンスと覚え書き

 暫く iOS アプリなどから連携不可能な状態になっていた BOSE SoundBar 900 を復旧したので覚え書き。


問題

手元では下記の問題がありました。

  • ルータの設定上の問題か、 BOSE 社サイトへの通信が通らずアクティベーションできない (iOSアプリにて連携できない)
  • アクティベーションされた際、最新ファームウェアへのアップデートが始まるが、完了しない
この問題を解決するための手順は、最終的に、下記のとおりになりました。
  • DHCPでアドレス取得ができるネットワークに有線で接続
  • ファームウェアリセットのため Bluetooth + 早送り> ボタンを長押しする
  • BOSE社サイトからファームウェアファイル product_update.zip をダウンロードする
  • SoundBar 900 が掴んでいる IP アドレスを見つける
    • 今回はルータの DHCP リース状況からIPアドレスを特定
    • BOSE社サイトで案内されているMACの prefix がアテにならない
  • http://x.x.x.x:17008/update.html にアクセスする
  • 表示されたファームウェアアップロード画面にて product_update.zip をアップロード
    • ファームウェアアップロード画面をリロードしてファームウェアバージョンが上がっても我慢
    • 白いダッシュ(−)LEDが点滅しているうちはFWアップデートが続いているので1~2時間かかるつもりで放置
    • サウンドバー本体からファクトリーリセット時の起動音がしたらアップデート完了
  • DHCPでアドレス取得ができ、素直に通信できるインターネット環境に接続
    • 今回はLTE無線&有線ルータを上流として使用
    • SoundBar 900 を同ルータに接続して有線 DHCP でアドレス取得した状態とする
    • iOS端末を同ルータのL2セグメントに接続
  • iOS端末にて SoundBar 900 を登録、アクティベート
  • 本来のネットワークにイーサネットで接続し DHCP でアドレスを取得しなおす
    • 有線 -> 有線であれば WiFi のパラメータが絡まず、上流を置き換えても問題がおきない模様
普通の人に「これやりなよ」とカジュアルに言えるかというと、かなり微妙です。
知人が同じ問題に悩んでいても、面倒なので、教えてあげたり手伝ってあげたりする気には、正直なりません。
このようにファームウェアの挙動が常に判りづらく、デジタルガジェット的観点な感想として、かなり低めの評価になります。


ファームウェアアップデートについて

事前にファームウェアをアップデートする理由は、アクティベート成功後、自動的にファームウェアアップデートが開始されますが、iOS上でファームウェアアップデートが開始された後に失敗しても何も理由が表示されません。アップデートは一度で30分弱かかると書かれていますが、ファイルの転送段階でアボートしていても把握できないようです。

LTE経由でファームウェアアップデートが走ったとしても、ここでダウンロードされるファイルが 600MB ほどになり、光回線などがあれば、LTEで転送することは合理的ではありません。PC等でファームウェアを事前ダウンロードしておけばリトライも簡単ですし、試行あたりの待ち時間や総転送量も減るでしょう。

実際にファームウェア更新ページで試してみるとわかるのですが、ファームウェアアップロード時、 SoundBar 900 のフラッシュストレージ畳に過去の失敗ファイルが残っていることがあるようで、その場合にはファームウェア更新のワークエリアが十分にとれずに失敗することがあるようです。この問題を回避するためには Bluetooth ボタン + 早送り> ボタンを同時長押しして、あらかじめファクトリーリセットしておくと、ワークエリアがリセットされるのか、空き容量不足になるエラーが解消できました。

いちどファームウェアが更新できれば、LTE回線を上流としたネットワーク環境でも、アクティベート後の自動的なファームウェアアップデートも発生せず、期待通りデバイスが制御できるようになりました。

最近のファームウェアでは HDMI で接続されたソースが起動したときにこちらに入力を切り替えるような変更が入っているようですね。何かの拍子に入力ソースが切り替わった後に、テレビ等からの音が聞こえずモヤモヤするということは減るのかもしれません。(音が鳴らないと HDMI のリンクが落ちているのか、単に入力ソースの問題なのかという二択が頭によぎる時点でかなりUXが低い印象でしたが、これが改善しているかもしれません)


中身は Android なのね

サービス用の Type-C コネクタを介して疑似イーサネット?接続することも可能なようですが、手元ではすぐにイーサネットとして認識されなかったので、切り分けも面倒なので早々に諦めて有線ネットワーク経由でアクセスしました(このアップロードページは、これはこれでセキュリティ的にどうなんだという作りですが)。

Type-Cで接続したところ Android デバイスとして認識されたので、これ中身の OS は Android なんですね。ファームウェアファイルが600MBもあったのに驚きましたが、なんか納得というかんじです。 Raspberry Pi にのっているような STB 用のプロセッサ等で制御しているんでしょうね。


HDMIのリンク落ち問題

経験してみて判ったのですが BOSE SoundBar シリーズは HDMI で接続中に HDMI のリンクが落ちるとコールドスタート(電源ケーブル抜き差し)まで復旧しないようで、ネットで調べるとフラストレーションを感じている人が日本語でも他の言語でもいっぱいいます。私が弄った個体でもこの問題は発生していて、以下の対策をしています。

1)Ultra High Speed HDMI 認証のケーブルに交換で接続
2)HDMI ソース側(今回は SONY BRAVIA)の外部入力設定において HDMI リンクモードを拡張から標準に変更
3)簡単にリセットできるように電源ケーブルにスイッチを増設 :-(

Ultra High Speed HDMI は、 8K 対応として売られているケーブルです。メーカーがズルをしていなければ、このロゴを付けられるケーブルは 8K のデータが転送できることを確認している(よりテクニカルには 48Gbps のデータ伝送で問題ないことが確認された製品)ということになります。Ultra High Speed HDMI はいまのところ HDMI シリーズでいちばんノイズ耐性をもとめる規格です。1m程度のケーブルは銅線などで単に接続されているパッシブタイプのケーブルが一般的ですが、高ノイズ耐性なケーブルであれば迂闊な HDMI の信号ロックはずれに頻度も減るだろうという狙いです(自分で HDMI 信号を扱ってきた際の体験談に基づいてのロジックです)。実際、体感的には、コレでかなり音が消える頻度が下がった気がします。

SoundBar 900 は eARC の製品ですが、どうせオーディオしか伝送しないだろうに、高いビットクロックでソースとシンクが HDMI 信号をロックしてて、ちょっとしたノイズで簡単に HDMI 信号のロックが外れると電源入れ直しまで復旧しないとか、そんな感じの挙動に見えます。おそらく付属のケーブルでも同期がとれなくなるケース多いのでしょうが、私みたいに古いケーブルなどをうっかり使い回すような人は、かなり痛い目にあうのでしょう。

HDMI信号ロックが外れたときのために SoundBar 900 の通電用ケーブルは簡単にリセットできるように電源スイッチを自分で追加する加工をしてあります。電源タップ側で簡単に電源オンオフできればそれでいいと思いますが、電源タップがアウトレットごとの独立制御に対応していなかったので、ケーブルを加工しました。電源ケーブルを抜き差しする手間がないだけでもかなりストレス軽減です。

今回、テレビ側の設定を見ていたら HDMI のリンクモードを拡張・標準で選べるようなので、これを変更したときに具体的に何がおきるかは判っていないのですが、これで HDMI のビットクロックを落とせたら安定性が増すかな、みたいな期待で、こちらの設定を標準モードに変更してみました。これで安定性が増すといいけども...