2015年12月24日木曜日

スプラソン機材セットをつくりました



この記事は Splatoon Advent Calendar 2015 の 23 日目の記事です。(空きがあったので登録してみたものの.... 遅れてすみません)
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私は別にスプラトゥーンで何か語れるほどプレイしていませんし、今回はスプラトゥーンのみんなで楽しくアソブための機材を調達した紹介をします。

スプラトゥーンは4対4のチーム戦が基本です。いわゆる野良マッチであれば世界のどこかのプレイヤーとチームを組んで戦いに臨むことになります、場合によっては仲間内で集まってタッグ同士のマッチに参戦したり、知り合い同士でプライベートマッチを開き対戦することも可能です。

最近知ったのですが、みんなで一カ所に WiiU を持ち寄ってプレイすることを”スプラソン”というのだそうです。最近スプラソンが Speee で開催されたので遊んできたのですが、それが面白く、自分たちでもなにかやりたいな、と思っていたら、気づくとスプラソンの際に便利そうな映像機器をいろいろ調達していました。こんなことができます。



このビデオではひとつの WiiU の画面を複数表示していますが、実際には複数の WiiU からの入力を同時に表示できます。


どうやっているか、ですが、4つのHDMI信号をひとつのHDMI信号にまとめてくれる機器とスプリッタを組み合わせてプレイ用テレビ/ディスプレイとチーム画面などへの同時出力を実現しています。




実現にあたって、主な装備として下記のデバイスを準備しました。

  • WiiU 4台からのビデオ信号を受け取り、ひとつのモニタ/プロジェクタに表示するHDMI スイッチ ×2
  • WiiU のバスパワーで動く 1:4 HDMI スプリッター ×9
  • 上記を配線するための HDMI ケーブル (20本ぐらい)

このうちHDMI信号のミックスができるスイッチはちゃんとしたメーカーのものを買おうとすると1台20万円もしくはそれ以上になってしまいます。そこまでの製品ではありませ、、が、4〜8人でスプラトゥーンをあそぶのに使える程度の機材を勢いとポケットマネーでゲットしました。
 まだ8画面処理は試したことがないのですが、先日某所にて有志の方々に WiiU を持ち寄ってもらい試したところ、ひとつのテレビで4画面同時表示や録画が可能なことが確認できました。

スプラトゥーン大会を開いても楽しいですし、気合いがはいった?使い方としては強化合宿でプレイ録画をしておきあとで全員でレビューする、なんてのもできそうですね。試してみて改めて感じたのですが、キャプチャデバイスひとつで4人分の録画ができるのはとても便利です。



この機材は、スプラトゥーンを楽しむ皆さんで活用してもらえればと思っており、ベストエフォートながらどんどん貸し出し等を行いたいと思います。

ただ、それなりに初期投資として持ち出しているほか、今後の機材故障での買い直しや海外への修理品輸送などが発生するとまたおカネがかかりますので、申し訳ありませんが
参加者ひとりあたりワンコイン程度を目安にレンタル料を設定するつもりでいます。ご興味おありの方は Twitter で @hasegaw までご連絡ください。

1月でスプラトゥーンの大幅アップデートは一段落ということですが、まだまだこのゲームは盛り上がると思っています。今回紹介したスプラソンキットは関係なく、楽しく遊びましょう。

ちょっと宣伝じみて恐縮ですが、みんなでたのしく遊びましょう。


この記事は Splatoon Advent Calendar 2015 の 23 日目の記事です。
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2015年12月15日火曜日

Fluent-bit と XBee で作るセンサーネットワーク

この記事は Treasure Data Advent Calendar 2015 の 15日目です。
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6月に開催された LinuxCon 2015 Tokyo で Treasure Data のエンジニアが Fluent-bit を紹介していました。 Fluent-bit とは、 Fluentd のデザインを継承した、組み込み用途向けの情報収集ツールだそうです。

http://fluentbit.io/


ただ、その時点では利用できる Input プラグインが限られており、そのノードのシステム情報などの取得が中心でした。 XBee 対応もモック状態でしたので、適当にいじって動くようにしてみました。今回は in_xbee がどんな感じに動くかを紹介します。いま Fluent-bit で実現できるすべての入力を紹介します。


1. Fluent-bit + XBee でできること


Fluent-bit は、 Treasure Data 社が作っている、組み込み Linux 向けの IOT データコレクタで、各種センサからの値を取り込むためのツールです。取り込んだデータは、 Fluentd へ送信したり、もしくは Treasure Data 社のサービスへ送り蓄積できます。インプット/アウトプットのモジュールはプラグイン型となっているため、新たなインプットやアウトプットに対応することも可能です。以下は Fluent-bit プレゼンテーションで示されている概要です。

 

XBee は Digi International 社による無線モジュールで、 ZigBee (802.15.3) や WiFi(802.11) など様々なタイプのものがあります。特に、 ZigBee 規格はセンサネットワークを構築する用途に向いています。Fluent-bit から XBee を実際に扱えるような Pull Request をマージしてもらいましたので、いまだと XBee をデータソースとして使えます。



 

XBee にはいくつかの種類がありますが、どのモデルでも下記の入力が扱えます。
  • デジタル/アナログ信号を一定間隔、もしくは変化があったときに送信
  • 接続されたコンピュータ(マイコンやPC)からのシリアル通信内容により送信
今回は、 Fluent-bit と XBee を使ってデータを収集するしくみを作る例、マイコン(Arduino)からFluent-bitにデータを送信する方法を紹介したいと考えています。


2. Raspberry Pi 2 で Fluent-bit を動かす


 XBee との連携について説明する前に、 Raspberry Pi 2 上の Raspbian で Fluent-bit を動かすための最低限の方法について説明したいと思います。

Fluent-bit を GitHub からクローンしてきます。本記事の公開時点では最もあたらしいリリースである v0.5.1 がよいでしょう(私は maser を使いました)。 Fluent-bit をコンパイルするには下記の要領で作業します。


 コンパイルが成功したら下記の要領で動作確認が可能です。

または、下記要領で Fluentd へのログ送信も確認できます。 Fluentd へは "fluent_bit" タグで送信されますので、 Fluentd の設定を済ませておいてください。


3. はじめての XBee


では、 Fluent-bit で XBee を使って情報を集約するために必要なモジュール、部品を揃えていきたいと思います。今回は秋月電子で揃えられる部品で実装しますが、同等品などでも構いません。



今回はXBee Series 2 モデルを 2 台準備しました。

備考:
  • XBee用シリアルインターフェイスは利用前にハンダ付け作業が必要です。
  • XBee用シリアルインターフェイスは最低1個あれば本記事の作業を行えますが、初めてXBeeを扱う場合など、疎通を確認する段階で2個あると便利です。
  • 本稿執筆時に使用したXBeeモジュールはSeries 2、もしくはXBeeZBと呼ばれるモデルですが、XBee Series 1, XBee WiFiなども(たいして変更なく)利用可能と思われます。
  • 相互通信のためには同じシリーズを利用する必要があります。たとえばXBee S1とXBee WiFi, またXBee S2の間は相互通信できません。
  • XBeeのアンテナタイプには外付け、アンテナ付きタイプ、PCBアンテナ(基板に内蔵)タイプがあります。アンテナ付き、もしくはPCB対応がよいでしょう。


エンドポイント側 XBee の設定 


エンドポイント(センサデバイス)側として使用する XBee モジュールを USB インターフェイスボードに装着し、 USB ケーブルで作業用 PC に接続します。設定は XCTU と呼ばれるツールを使用します。 XCTU は Digi International 社のサイトから入手してください。紹介するスクリーンショットは OS X 版のものです。

XCTU Software - Product Detail - Digi International
http://www.digi.com/support/productdetail?pid=3352

XCTU で XBee モジュールに End Device API のファームウェアをロードし、下記設定値をプログラムします。




 


 

 


コーディネータ側 XBee の設定


同様に、コーディネータ(Raspberry Pi 2)側として使用する XBee モジュールも、先と同じ要領で設定を行います。こちらのファームウェアは Choordinator API のファームウェアをロードし、下記の設定値をプログラムします。








この時点でエンドポイント用 XBee の電源がオンであれば、5秒毎にデータが送られてきているはずです。ターミナルのアイコンでコーディネータ側 XBee のシリアルポートに接続すると、エンドポイント側から送られてきた IO Data Sample RX Indicator というパケットが見えるはずです。




エンドポイント側からのパケットが届いていることが確認できたら、XCTUを終了し、 USB ケーブルを抜きます。


4. Fluent-bit とコーディネータ側 XBee の接続 


コーディネータ用XBeeをRaspberry Pi 2に接続します。 USB ケーブルで Raspberry Pi 2 に接続すると、 /dev/ttyUSB0 もしくは相当のデバイス名で認識されるはずです。 FTDI の USB Serial ドライバがないとダメですのでカーネルモジュールを削ってしまっている場合はビルドしてロードしてください。


Fluent-bit 設定ファイルの作成


設定ファイル xbee.conf を作成します。



※ XBeeLogLevel を設定した場合は、 XBee の通信に関する細かなログが表示されるようになりますので、うまく動作しない場合にはコメントアウトを解除して試してみてください。


Fluent-bit の起動と XBee パケット 受信確認


Fluent-bit を起動し、実際に XBee のパケットが拾えるか確認してみます。特に設定をしない限り、/dev/ttyUSB0 は root:dialout の権限になっていますので、 sudo を使って root 権限で動作させます(お使いのユーザを dialout グループに所属させてもよいでしょう)。


起動後、XBee エンドポイント側からの定期送信パケットが表示されれば、ここまでは OK です。もしうまく表示されない場合は、 XBeeLogLevel のコメントアウトを解除して、 XBee の受信処理などのメッセージが出力されるか等から、表示がされない原因を切り分けます。


エンドポイント側 XBee からデジタル信号を入力する




 GND ピンと DIO1 ピンをショートさせる "DIO1" として 0 が送られてきます。 DIO1 ピンに 3.3V かけると 1 が送られてきます。たとえば、以下のようなデータが Fluent-bit に出力されます。5秒おきのポーリング結果に加えて、ピン状態が変化したタイミングに特定ピンへのデータが届いているためこのような表示になります。

実際にはドアのスイッチを接続したりすることになるでしょう。たとえばトイレ個室のドア開閉状況を Fluentd で収集し Kibana などに投げてやればトイレのビジー率などをグラフ化できるでしょう。


エンドポイント側 XBee からアナログ信号を入力する


次にアナログピンの実験をしてみましょう。 XBee には、 0V 〜 3.3V の範囲で、どれぐらいの電圧がアナログピンにかかっているかを検出する ADC 機能があります。アナログタイプの照度センサなどのデバイスを使えば、状態を電圧として XBee のアナログピンに入力することができます。

3.3V 端子と AD0 端子を繋ぎ、 Fluent-bit の出力をみると AD0 が 1023 になっています。逆に、 GND 端子を AD0 端子に繋いでみます。すると、今度は AD0 が 0 に近い値になります。 AD0 に 3.3V をあらためてかけると、また AD0 の値が 1023 に戻ります。 実際には日照センサなどを接続することになるでしょう。


入力したデータの取り扱い


Fluent-bitでデータが入力できたら、 Fluentd によって Treasure Data Serivce 、もしくは Fluentd を介してお好きなミドルウェアに集約することができます。


5. XBee meets MCU


ここまでは、 XBee 自体の機能だけを使い、デジタル/アナログピンの状態をを収集しました。しかし、実際には、センサを動かすためにマイコンが必要であったり、またはセンサからの入力値を送信する過程でマイコンで処理をしなければならない場合も多いでしょう。今回は、そのような状況を想定し、 Arduino を使って情報を収集し、 XBee モジュールを介して Fluent-bit に送信するセンサノードを試作してみます。

今回使用する Arduino Duemilanove は 2010 年頃に流通していたモデルで現在は見かけませんが、現在の Arduino UNO R3 相当品だとお考えください。


in_xbee プラグインが受け取れる MessagePack フォーマット


in_xbee プラグインは、以下の形式で MessagePack でシリアライズされたペイロードを受け取れます。
  • [ time, { key => val, ... } ]
  • { key => val, ... }

タイムスタンプがついていない MessagePack ペイロードの場合 Fluent-bit が受信した時刻がそのペイロードの時刻となります。センサノードやマイコンには、現在の時間を扱うリアルタイムクロック(RTC)が搭載されていないこともしばしばです。時刻が分からないノードの場合は Fluent-bit 側でタイムスタンプを付加させることができます。


サンプルの概要


Arduino と XBee 、そして温湿度センサを使って、 MessagePack でシリアライズしたデータを送信し、 Fluent-bit で受け取るサンプルを作ってみます。
  1. Arduino は I2C バスを介して温度センサ AM2320 から温度、湿度情報を読み取ります。
  2. Arudino は 温度、湿度情報を MessagePack でシリアライズします。
  3. Arudino はシリアライズしたデータを XBee でブロードキャストします。
  4. Fluent-bit で先の MessagePack を受信します。
Arduino から I2C デバイスを制御するには wire という標準ライブラリがありますが、 AM2320 をコントロールするには不十分だったため SoftI2CMaster と呼ばれる別のライブラリを利用しています。取り込んだ値は下記構造で MessagePack でシリアライズします。

{ "degC" => 23.0f, "humidity" => 40.0f }

ワンチップマイコンでは 16bit どころか 8bit アーキテクチャのものも多数あり、またモノによっては POSIX どころか malloc() すら標準提供されていないものも多くあります。また、マイコンによっては浮動小数点フォーマットが IEEE754 ではないとかの機種依存事項もあります。このため msgpack-c のようなライブラリを MCU で使うには、いくらかハードルがあります。

このような環境を想定した MessagePack 実装として、ワンチップマイコン向けの msgpack-mcu を試作しました。 msgpack-mcu は GNU C コンパイラやマイコン向けのベンダ製コンパイラでなんとなくコンパイルでき、各種マイコンで利用できることを想定しており、別に性能もコードもすごくありませんのであしからず。

MessagePack でシリアライズされたデータは XBee を介してコーディネータに送信します。今回は Aruduino スケッチは XBee の API モードでデータをブロードキャストする最低限の実装となっています。


Arduino への XBee, 温度センサの取り付け


Arduino と温湿度センサ、XBeeをArduinoに接続していきましょう。ブレットボードを使えば、半田付け作業なしで回路の試作が可能です。今回はブレットボード上に温湿度センサとXBeeを載せます。下記の要領で SDA/SCL を AM2320 へ、 Arduino の TX を XBee の TX に接続します。



Arduino は 5V でデジタル信号を扱いますが、 XBee は 3.3V のデジタル信号を扱います。 XBee に Arduino の信号をそのまま入力すると死んでしまいますので、5V ←→ 3.3V のレベル変換が必要です。今回は Arduino (5V) → XBee (3.3V) ですのでレベル変換 IC などは使わずに抵抗を利用した分圧で済ませます。 5V を 3V に落とすため、抵抗の比率を1:2にします。

 


スケッチをArduinoへアップロード


以下に AM2320 から I2C で値を読み出して MessagePack でシリアライズし、 XBee API を使ってブロードキャストするサンプルを示します(SoftI2CMasterおよびmsgpack-mcuが必要です)。


このスケッチを Arduino にプログラムしてシリアルポートを見ていると、この配線をした状態であれば Arduino の起動から2秒後に { "i2c_init": 1 } という出力が見えるはずです。すべてがうまく行っていれば温度情報が数秒ごとに MessagePack over XBee API でブロードキャストされます。




Fluent-bitでの受け取り確認


先の Arduino から送られてきた MessagePack ペイロードが Fluent-bit の in_xbee に入力されると、次のようになります。


この表示が得られれば、 XBee を介して Fluent-bit が MessagePack のデータを受信できているはずです。あとは、お手元の Fluentd の Forward ポートへ転送してあげるだけです(もちろん Treasure Data Service に送るのもよいでしょう!)。


セキュリティ上の注意


今回の記事では、データの暗号化を行っていません。実際の利用にあたってはデータの暗号化、また XBee モジュールの無線出力の調整などが必要になるかと思われます。 XBee モジュールは AES による暗号化機能を搭載していますので活用してください。


(おまけ) TWE-Lite


参考までに、 XBee は無線モジュールであり、全モデルに共通して”しっかりしたマイコン”は付いていません。このため何かしようとするとすぐにマイコンを併用することになります。そうなると部品点数が増えますし配線も面倒です。

ここで TWE-Lite がちょっと便利です。モノワイヤレス(株)が販売する TWE-Lite は XBee の別メーカー版のようなかんじで、 ZigBee ベースでメッシュネットワーク ToCoNet が構成できる上に 32 ビットのマイコンも搭載されており、エンドポイントでちょっとしたプログラムを走らせるのに向きます。ZigBee と 32bit マイコンがワンパッケージに収まっていて 2000 円以下で入手できますので、安くセンサネットワークを作るにはアリだと思います。ちょっとした試作であれば TWE-Lite DIP を使うとブレットボード上で作業できます。



当然 TWE-Lite は XBee の API をしゃべるわけではありません。そこで、わたしは個人的に、”ホストからみると TWE-Lite が XBee API を話すような”プログラムをコーディネータ相当の TWE-Lite に書き込んでいます。これを使うと Fluent-bit + in_xbee で ToCoStick (TWE-Lite + USB インターフェイス)が受信した ToCoNet のペイロードをあたかも XBee のネットワークで送られてきたかのように振る舞います。

一方、センサノード側の TWE-Lite DIP には先の msgpack-mcu などを組み合わせて温度センサなどから集めた情報を MessagePack にシリアライズし、 ToCoNet を介してコーディネータに送りつけるようプログラムしてあります。

上記2点のプログラムを組み合わせることで、少ない部品代と部品点数で XBee もどきノードを作り、データを収集して Fluentd + Kibana を動かしてみたのが下のスクリーンショットです。





 



6. まとめ 


今回は Fluent-bit と XBee ネットワークを通じて情報を収集する方法を紹介しました。本記事を通じて、 Fluent-bit どのような事ができるのか、また Treasure Data Service もしくは Fluentd を使ったデータ集約にあたって、Fluent-bit をどのように活用できるのか、イメージを掴んでいただけたのではないかと思います。

Fluent-bitの登場により、Linuxが動作するコンピュータと、数千円で用意できるセンサノードを組み合わせて、(ほとんど)ソフトウェアを書かずにセンサーデータが集約できるようになりました。空間の環境情報、ドアの動きのモニタリングなど、皆さんのまわりで物理的な情報を集約する必要が出てきた場合には、 Fluent-bit の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


この記事は Treasure Data Advent Calendar 2015 の 15日目です。
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2015年12月10日木曜日

おうちハックで戦った話

この記事は おうちハック Advent Calendar の 10 日目の記事です。

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なんか面白そうなので参戦してしまいました。私は玄関ドアにネットワークカメラを設置したことがあるので、そのときの話を紹介したいと思います。


すべてのはじまり



隣人から、わたしの在宅、不在に関わらず「私の騒音がうるさい」というクレームがくるようになったのです。このクレームの一週間後、私は当時の勤務先の本社があるソルトレイクシティに出張する予定でした。このため、私が海外出張中でも物音がするのかを確認するため、急遽 Web カメラでインターホンの動体検出・録画を仕掛けました。


玄関カメラ1号


玄関のインターホンはカメラ付きで、誰かがインターホンを押せば、その瞬間に液晶画面に玄関前の映像が映ります。このため、インターホン設備の前にWebカメラを置き、MacBookに接続して、動体を検出したら自動的に録画するソフトウェアを見つけてきて仕込みました。

 
帰宅した自分自身も記録されています。

ここで使用したソフトウェアは、 YYYYMMDD_HHMMSS形式でJPEGファイルとして動体のフレームを保存します。このため、ファイルが保存されれば、いつ、誰が自宅のインターホンを押したかが記録できるわけです。

このソフトウェアの画像ファイル保存先を Dropbox に設定することで、私がアメリカ(現地時間の日中は、クレームがくる可能性がある夜間や朝)に滞在しているとき、手元の Dropbox ディレクトリ内に新しい画像ファイルが同期されてきて、リアルタイムに気づけることになります。

ついに隣人が私の家のインターホンを押しました。私は Snowbird というゲレンデで同僚とスノーボードを楽しんでいるのに、です。



これで私の無実は証明できました。しかし。しかしです。

3月3日 午前6時37分。当たり前ながら(?)私は寝ていました。そうすると突然インターホンが鳴り、いったい誰がきたのかと思ったら、例の隣人が「出てこい!」と切れています。何かが玄関ドアに対して当たる音がしました。きっとドアを殴ったか、蹴ったかのどちらかでしょう。びっくりしていると私の家の前から消えてしまったのですが、追いかけて事情をきくと、昨夜 23時〜0時にかけて物音がした事についてのクレームでした。

3月17日 午後10時30分。また下の階の住民が訪ねてきて、騒音がうるさい!とのクレーム。そのときは、まだ発売されたばかりの「シムシティ」を楽しくプレイしていた最中で、ゲームからショベルカーで建物をスクラップしたときのドーン音ぐらいしか発生させていませんが、それが下の階に届くことは考えづらいですし、自分自身はソファに座ってキーボードやマウスを操作しているのですから、騒音のたちようがありません。

どうにもならないので大家、不動産会社経由で管理会社に「隣人が騒音に苦しんでいるので助けてあげてほしい」と連絡をしました。これまでの経緯もあわせて、です。海外出張中の深夜に隣人が訪ねてきた記録が残っていることも話しました。


玄関カメラ1号、破れる


すると隣人のクレームがエスカレートしてきました。

 

3月23日 21時54分、インターホンのカメラ部分に手を当てて自分の姿を隠しながらドアを喚いたりドアを蹴ったりしています。どうやら記録の件が管理会社経由で伝わって気分を害したようです。仕方ないのでまた管理会社に連絡です。

管理会社に対応をお願いしつつ、私はインターホンのカメラシステムをアップグレードする必要性を感じていました。理由は:
  • 就寝中(午前2時〜4時)の訪問を繰り返されて、インターホンが鳴ったかどうかも正常に判断できなくなっており、客観的な記録はとり続ける必要があった
  • 先述の理由でインターホンのモニタ前にカメラを仕掛けても目的の画像が記録できなくなっていた
  • 在宅、不在にかかわらず隣人が自区画に近づいたかはログしておきたかった(訪問のほか、嫌がらせなどがあった場合の記録は残しておきたい)

玄関カメラ2号、爆誕


そんな時、秋葉原で在庫放出品と思われるネットワークカメラ PLANEX CS-W05NM があったので、買いました。


こちらは無線 LAN モデルになっており、 Web ブラウザからカメラのリアルタイムモニタリングをしたり、動体検出 SD カードや SMB/FTP によるリモートへの録画などが可能です。

早速、玄関ドアの覗き穴部分に取り付けました。築40年越えの分譲マンションのドアですが、ホームセンターで購入した玄関用覗き穴パーツ、木の板、ボルトなどをつかってマウントを自作します。賃貸契約ですし、オリジナルの部品は退去時に原状復帰できるようにすべてそのまま保管してありました。


しかし、新たな問題が発生しました。覗き穴経由の像は有効画素数の一部にしか映っておらず、結果としてネットワークカメラがもつ動体検出機能が動作しませんでした。動体検出の閾値は調整できそうにありません。


玄関カメラ2号のソフトウェア開発


仕方なく何か手段がないか探っていると、 設定次第では、ネットワークカメラに HTTP リクエストを送ると、Motion JPEG 形式でストリーミングが受けられることに気づきました。 Motion JPEG はいわば JPEG 画像のパラパラまんがですので、これをプログラムでバッファに書き出せば画像をリアルタイムで受信できるわけです。ネットを探検していたらサンプルコードを見つけたので Python で実装しなおし、二枚の画像を Numpy で引き算し差分を求めれば、画像の変化がわかるので、ニーズにあわせた動体検出&録画プログラムを書くことにします。

と、いうわけで。 Python と OpenCV を Hello world する日がきました。 Motion JPEG ストリームから JPEG データを抜き出し、 OpenCV を使って画像データ(Numpy)の配列に変換します。

あとは、すこし時間差がある画像2枚の差の絶対値をとれば、画像のなかで変化が大きいところが浮かびあがってきます。

この考え方をベースに、
  • Python で Motion JPEG のストリームを受信
  • 過去何十フレーム程度の履歴を常に保持
  • 過去のフレームと最新のフレームの差(=画像の変化)を調べる
  • 画像に変化がしばらく続いた場合に、バッファに残っているフレームから、画像の変化がなくなってしばらくするまでをひとつのMJPEGファイルとして保存
  • 検出開始した場合は Growl で手元の端末に通知
実際には蛍光灯のフリッカー、きまった時間に点灯/消灯する階段照明、カメラ自体のオートコントラスト/ゲイン機能などによる一時的な画面変化などを無視する処理もしています。

このソフトウェアが生成したビデオファイルの例を示します。

この仕組みにより、自宅の玄関に隣人が迫ってくる段階から記録を残すことができるようになりました。


玄関カメラ2号の運用結果


この仕組みでは、玄関の前を通った人たちも記録されてしまいます。見られていると思ったら周りの人々も気持ち悪いでしょうし、私自身も興味ない上に見ていてあまり気分のよいものではないので、目的の人物でなければ見なかったことにして忘れてファイルも消去です。そのほかにカメラを映りこんだ人を見てみると、
  • 表札をチェックしていく謎の男性 (地図屋?そのほかの調査?)
  • なぜか不在中に来訪した女性(たぶん宗教の勧誘とか)
  • 宅配便のスタッフ(チャイムを鳴らしながら電気メーターのまわり具合をみて在宅かどうかを見極めようとする人が多い)
などが見えてきて、いろいろと参考になりました。そして、ゴールデンウイーク。問題の隣人が夜に訪ねてきたビデオがついに記録されました。
問題の隣人が夜に訪ねてきたタイミング、および日中に手紙を玄関ポストへ投入する姿が覗き穴から確認できました。もちろんドアに近づくどころか階段を昇ってくる瞬間から動画として記録していますので、仮面ライダーのコスプレでもしていなければ誰であるかもよく判ります。

幸い、このタイミングで管理会社に改めて連絡をしてからは、隣人からクレームがくることはなくなりました。その後もしばらくこのシステムを稼働していましたが、さらに半年した時点でシステムを停止しました。今年にはいってからマンションの大規模修繕があり、玄関ドアごと付け替えになったので、先のネットワークカメラも今はありません。


関連するハック


このカメラですが、連続稼働していると突然通信できなくなることがあり、そのためにワッチドッグタイマーでリセットすることを考えて Eject-io というデバイスを開発していました。 Eject-io は カーネル/VM探検隊の Advent Calendar 2013 で紹介しましたので、そちらをご確認ください。
実際には Eject-io を使わずにタイマーを使って6時間ごとにネットワークカメラを起動しなおす運用を続け、それで目的が達成できてしまったので、 Eject-io は使いませんでした。


また、のちにスプラトゥーンの画面解析ツール IkaLog を作る際にはこの時の Python + OpenCV の経験が役に立ちました。

おわりに

ちょっとした手段で記録を残しても、いわゆるキ○ガイが静かになるかどうかは別の話だなあ、と思いました。

今回、私のケースは半年程度でに落ち着いたので(たぶん)よいのですが、火のついたマッチを玄関ドアの郵便受けに突っ込まれたり、その前に灯油がガソリンなどまかれたりしたら恐ろしいことになりますし、上の階に住んでいる子供達が心配です。

そういう自体を想定して火災アラームの増設などは行っていましたが、そもそも午前2時〜4時に度々チャイムを鳴らされて起こされていると、寝ている途中でふと「チャイムが鳴った気がして目が覚めたり、でも鳴っていなかったり、鳴ったのか鳴っていないのか判らなかったりしてきて、認識に異常をきたします。正直なところ、そもそも、そんな心配がないところに移ったほうがいい、と思っています。

おうちハック自体ではキ○ガイは居なくなりません。皆さん、お気を付けください。

おうちハック Advent Calendar の 10 日目
前日の記事: Extreme Home Hackレポート
翌日の記事:メインブレーカーが落ちる前にドライヤーを止める


2015年10月26日月曜日

IkaLog Store (IkaLog 作者に還元できるアフィリエイトリンク集)

 IkaLog をきっかけに各種キャプチャボードなどを購入する方が増えているみたいですね。

IkaLog はオープンソースソフトウェアとして公開していますので、どなたでも無料で使っていただけます。
  • 「ちょっと、作者に還元したいな!」という奇特な方は下記のアフィリエイトリンクを介してスプラトゥーン関連製品やキャプチャデバイスなどの製品を買っていただいても構いません。
  • アフィリエイトリンクを踏んでいただいてもバグ修正・新機能追加などのリクエストは受けかねます。現状で満足されている方のみご利用ください。
スプラトゥーン関連製品
Wii U スプラトゥーン セット