たまにはブログを書こうかと。今日はこのブログではじめてフラッシュメモリの話題を扱うことにしましょう。
個人的に大好きなプレゼンテーションがあります。タイトルは Mythbusting Flash Performance 、元Sun(現Oracle)の Solaris プラットフォーム エンジニアリングのバイスプレジデント Bill Neshim 氏が Flash Memory Summit 2011 のキーノートとして講演した際のスライドのようです。
このプレゼンテーションには衝撃的なグラフが入っていて、これを見たとき衝撃を受けました。それ以来このプレゼンテーションはお気に入りとして常にマシンの中に入っています:)
予期可能なレイテンシ性能のフラッシュメモリデバイス、そうでないフラッシュメモリデバイス
フラッシュメモリデバイスは、使用されているNANDフラッシュメモリのパッケージごとの性能もありますが、それを管理・制御するコントローラにより、最終的なデバイスの仕上がりが大きく変わることが知られています。
フラッシュメモリデバイスの性能は IOPS (単位時間あたりのIO回数)と帯域幅で語られがちですが、さらにレイテンシという軸で探ってみると、デバイスの本当の性能がよく見えてきます。
IOPSの比較
以下は、先のプレゼンテーションからの引用です。具体的なデバイスの機種名は明かされていませんが、2つのフラッシュメモリデバイスのIOPS性能を比較しています。
Device A
Device B
このふたつの違いは明白です。前者は書き込みスレッド数により IOPS 性能が決まってくる、つまり性能が予期できることがわかります。後者は、もちろんスレッド数が少ない方がIOPS数が多いもののおよそランダムな状態です。これが、性能が予期できないフラッシュメモリデバイスの特性です。
レイテンシの比較
続いて、次のスライドは2つのデバイスのレイテンシ性能を比較しています。
縦軸は頻度、横軸はIO時に発生したレイテンシの大きさです。つまりグラフが左側に寄っていればそれだけ応答が速いデバイスである、と見ることができます。
このグラフで登場している2つのデバイスは、実際に Oracle の本番環境で利用されており、非常にレイテンシ特性が似ています。しかし、 OLTP ワークロードをかけた際のグラフを見ると、 Dev1 はレイテンシが大きくなる頻度が Dev2 より大きい —— つまり、実際のアプリケーション負荷をかけるとレイテンシがより悪化するデバイスである、ということです。
これについて Bill 氏は「I/Oのうち最も遅い 1% がデバイスの性能を決める。しかし、多くのデバイスベンダはこの部分の軽く見がちだ」と述べています。
どうして氏が 1% に拘るのか……それは次のスライドに答えがあります。
このスライドは、さきほどの「最も遅い1%」が データベースの OLTP に性能にどのような影響をもたらすかを示しています。縦軸はデバイスのレスポンスタイムタイム、横軸は時間です。このグラフでは、 Dev 2 が非常に安定したレスポンスタイムで応答しているのに対し Dev 1 のレスポンスタイムは明らかにムラがあります。
Dev 2 を使ったデータベースでは一定の間隔で応答してきますが、 Dev 1 は、まるで混雑した道路で渋滞にハマっているかのように動いたり止まったり……を繰り返しているのです。この結果、データベースの実行速度には大きな差が現れるのです。
まとめ
フラッシュメモリデバイスの性能は IOPS (単位時間あたりのIO回数)と帯域幅で語られがちです。しかし、それだけでなく、レイテンシが安定しているか、という観点での評価もとても重要です。それも一定時間の平均値ではなく、レスポンスタイムの分布まで含めてはじめて、アプリケーション性能への影響がわかります。
p.s. @yoshikaw さんにエントリ中のバグをご指摘いただき修正しました。ありがとうございます!
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