2026年2月14日土曜日

3Dプリンタを併用してSHURE SRH1540用ロングケーブルを製作

SHURE SRH1540

2000年ごろ、大学生のときにATH-A700ヘッドホンを購入してから20年近く使っていたのですが、最終的に樹脂部品が経年劣化で分解してしまい、処分しました。それ以降は解放型の SENHEISER GAME ONE を自宅で使っていたものの、モニタリング用途でどうしても密閉型のヘッドホンが欲しくなり、 SRH1540 を購入。


新品で購入しなくてもよいかなと思い、最終的に3万円台で中古を購入しました。それまでに使っていたヘッドホン類と比べると(新品販売時の価格帯も倍以上と違い)かなり解像度が高く感じ、聞こえ方が別物に感じます。

常用してわかってきた問題点


問題なく聴けているときの利用感は非常に好みです。しかし、常用していると、純正の「左右両だしケーブル」にかなり不便を感じました。

  • ケーブルが 1.5m 程度?で短め
    • 装着状態では身動きをとりづらい
    • ケーブル長から、利用場所の制限を感じる
  • 左右両だし仕様
    • ギターを抱えたり離したりしづらい
    • どちらが右・左か、わからなくなる
  • 3.5ピンコネクタ相性
    • 一般的な3.5ピンコネクタよりも細めなのか、接触不良になりやすい模様。検索すると悩んでいる人がけっこう出てくる

ケーブルの作製を決断、しかしコネクタが手に入らない


先述のトラブル内容でイライラしてしまうので、別のモニタリングヘッドホン購入を検討。しかし定価6万円台のヘッドホンを基準にしてしまうと、次の選択肢もなかなか決まりません。
「最終的に、これ以上ヘッドホン買うよりは SRH1540をなんとか使える状態にしたほうがよいだろう」と思い直し。ケーブルを作製することにしました。

作製にあたり困ったのはコネクタ部分。接点部分は一般的な MMCX ですが、イヤホンのリケーブルなどで使用される MMCX コネクタより細身の独自仕様になっていて、これにあった部品がありません。秋葉原で相談すると「そんなもん売ってねー」と冷たくあしらわれる状況。


既存 MMCX コネクタ + 3Dプリントの自作ハウジング製作にチャレンジ


最終的に NOBUNAGA Labs MMCXプラグ自作キット と、3Dプリントの自作ハウジングで製作にチャレンジすることにしました。







こちらの MMCX コネクタはネジ山が彫ってあるため、ハウジングの内径次第で、よい感じに閉めることができます(オヤイデで取り扱いのあるMMCXコネクタも購入しましたが、こちらにはネジ山がありません)。 Bambu Labs のPLAフィラメントで輪状に出力したハウジングに対して、そのまま締めることができました。

ただ、非常に小さいモノなため、このハウジングは3Dプリントするには 0.4mm ノズルでは難しい印象です。普段はあまり使わない 0.2mm ノズルを利用しました。 0.2mm ノズルで壁ひとつ分の壁厚しかとれないと思います(2壁はチャレンジしていませんが)。変に力をかけると層がはがれて壊れてしまうかもしれませんが。壊れたら、コネクタのはんだ付けからやり直しです(コネクタ部分の再利用はむつかしいと思いますので、修理のタイミングで新しい部品が必要な気がします)。このサイズ感のはんだ付けは得意ではないので、断線・修理が怖いです。

余談ですが、この製作の前に Kaika の P1S 利用可能なノズルを注文していたのですが、他のユーザからのトラブル報告などを経て最終的に入手しませんでした。 0.1mm ノズルが手元にあったら、絶対にプロジェクトでは 使ってみたかったです。

そして、ついに SRH1540 に装着可能な MMCX のハウジングを製作できました。多少不格好ですが、自分で使うには問題ないでしょう。



チャンネルの見分けがつくように片方をマゼンダにしました(CMYKセットとしてもっていたものを利用)


3mの片出しケーブルを作製


SRH1540に対応できるMMCXハウジングを作れてしまえば、もう後は単純なはんだ付け作業です。

今回は 3.5ピン側も NOBUNAGA Labs のものを使いました。正直私には200円未満のプラグとの利用感の違いはわかりませんが……。ピンジャックとSHURE純正プラグの相性問題とも、これでサヨナラです。

ケーブルは、オヤイデの、イヤホン用2芯2ペアのものを使用。作製したのは半年以上前ですが、これがすごく高かった覚えがあります。普通なら3mとかで使うようなものでもない。。。

右チャンネル分は短く、左チャンネル分はヘッドレストを経てコネクタに接続できるように作ったことで、事実上片出し運用ができるようになりました。

作製したケーブルはデスクトップ利用もできますし、ソファでギターを弾いているときにオーディオインターフェイスで音をモニタリングするのにも、不自由なく使えています。


3Dプリンタがあるからこそできた


このケーブルは 2025/7 に作製し、手元の利用ではハウジングが破損することもなく半年以上問題なく利用できています。

この製作のキモは、先述のとおり、特別なMMCXコネクタ用ハウジングの製作でした。もし3Dプリンタが手元になければ、最初から諦めていたと思います。私は手先が器用な方ではないですが、それでも「3Dプリンタで、解決できる課題が広がっている」と感じたプロジェクトでした。

Bambu P1Sアップグレード記録: AMS+Tetras乾燥機, AMSドロア, AMSロングケーブル

 Bambu Labs の P1S を購入してから一年以上がたちました。収益化している人ほどガンガン使ってはいないのですが、けっこう楽しく、便利に利用しています。今回は AMS 関連のアップグレード内容をまとめてみます。




AMS 2段 + EIBOS Series X: Teras 乾燥機

手元ではAMSを2台、P1Sのとなりにおいて運用してきました。合計8スプールを利用可能状態にしておけることで、便利に使っています。

さらに、この半年で、クラウドファンディングで buck していた EIBOS Series X: Tetras が到着。AMSに乾燥機能を追加するシステムです。これを注文したときは AMS2 はまだ出ていませんでしたので、これはAMS無印2台持ちの私にとっては現実的なアップグレードでした。

フィラメントドライヤーとしての Tetras の感想などはあまり書くつもりありませんが、「使用予定をフィラメントをセットして、ボタンを押してドライヤーにかけておくだけ」はとても便利です。PLAは上段メイン、ABSやPETGなどを使うときや、PLAでも乾燥にかけたいときなどは下段のAMS+Tetrasからフィラメント供給しています。

AMSが販売終了になっていることなどを考えると、これから Tetras を入手する人は限られるでしょうし、そもそも入手できる期間も相当限られそうですが、購入してよかったなと思います。


AMSドロア

Tetras 導入前、ダイソーのメタルラック用ポール等で製作したドロアを使用していました。3Dプリンタ購入直後で、モデリングも能力的にもぎりぎり、インサートなどを使うことも考えずに作ったものですが、いくらか問題があったものの便利に運用していました。




第一世代で発生していた問題は以下の部分です。

  • ダイソーのつっぱりミニポール用の棚を棚板として利用していたが、これ自体の強度が足りなかった。
  • 上記にPLAのはりを付けていたが、ありあわせのネジで組み立てた都合で、意図した強度が出ていなかった。
  • P1S - AMS - AMS のケーブルが短かく、ドロアをフル活用できなかった。 -> 後述ケーブルにて解決

この第一世代は、 Tetras 装着後にケーブル長の問題などからメンテ時に負荷がかかり、棚板が崩れてしまったので、第二世代として作り直すことにしました。


第二世代は、 Tetras 装着状態、もしくは未装着状態の AMS を搭載できるように作ってあります。AMSのサイズ感は 256x256 (mm) のベッドでは出力できないため、複数パーツにて構成して、インサートとM3ネジで組み立て、引き出し用のレールに載せています。加重はほとんど左右のレールに固定されたブロックにかかるようになっていて、思ったよりも安定しています。あえて言えば手でひっかける部分を付けておけばよかったか。
本業の始業前などにやっつけでモデリングしたので(言い訳です)あまりかっこよかったりはしませんが、目的達成には十分でした。直したいところがないわけではありませんが、「これでいいや」と使い続けています。
ダイソーポールとアウターレールをとめる部分については過去のプリント品をそのまま再利用しました。


ロングAMSケーブル

これまでの内容のように、AMSを複数台装着していると、AMS本体付属のケーブル(通信&電源)の長さが足りなくなります。ケーブルの長さが足りないことで、以下のような問題が発生します。

  • AMSをプリンタのすぐ隣に配置する必要があり、数センチ離すこともむつかしい。このため P1S 背面へのアクセスがしづらい。
  • 上段AMSと下段AMSのケーブルが短いために、片方のAMSをしっかり前に引き出すことがむつかしい。特に Tetras 装着後は運用上の課題が発生。

このため、付属ケーブルの約2倍の長さで代替のAMS接続ケーブルを作製しました。



AmazonやAliexpressなどで探せば既製品が見つかるかもしれないので、あれば既製品を使ってもいいと思います。私の場合は、このタイプのコネクタの圧着経験などがなかったので、自分で加工してみたかったという理由もあり、自分で製作しました。

ケーブル配線

純正ケーブルは調べたところ以下のシンプルなものでした。この調査結果に基づいてケーブルを製作します。
1-1
2-2
3-3
4-4
5-5
6-6

加工手順

加工は以下の手順で行います。
  • フラットケーブルを必要長さ+αで切断する。
  • 皮むき位置を揃えるため、油性ペンでフラットケーブルで皮むき位置をマークする。
  • 1芯目(赤)~6芯目まで、以下を繰り返す。
    • 皮むき位置で皮をむく。
    • 露出した銅より線が広がってしまう前に、はんだで軽く固めてしまう。
    • MicroFit用ピンソケットに、いちばん奥まで線をつけた状態で被膜もぎりぎり圧着できるところまで導線を切り詰める。
    • ターミナルに線を仮置きした状態で、はんだごての熱で、ケーブル側についたはんだとターミナルを軽くはんだ付け。(はんだを載せすぎると、のちの圧着作業やハウジングへの取り付けができなくなるので、軽めに)
    • 銅線の先側から被膜側まで、圧着工具でかしめていく
    • ケーブル部分からターミナルの先までまっすぐになるようにする。曲がっているとスムーズにターミナルを装着ができない
  • ハウジングを装着
  • テスターにて抵抗値を確認
私はそれ程この手の作業になれておらず、この手順で2本のケーブルを製作するのにおよそ3時間ほどかかりました。
テスターの抵抗値を見る限り問題がなさそうだったので、P1S-AMSの間をこのケーブルで接続してみると、P1S側からAMSのシリアルが正しく取得できていることが確認できました。これを確認の上、2本目に着手、AMS-AMSのデイジーチェーンを自作ケーブルに切り替え。問題なく動作しています。

部材調達メモ

フラットケーブルは、30芯ぐらいのものなら手元にありましたが、ここから6芯で50cm以上もとるには向かなかったので、今回の目的のために購入しました。秋葉原のマルツや千石などに見に行ったところ、思ったものがなく、最終的にオヤイデで5m購入しました。欲しいものが決まっていれば、依頼するだけで店員さんが用意してくれるのはありがたいです(無いものを聞いてしまうとすごい塩対応をくらう印象もありますがww)。
6芯利用なのに8芯を買ってしまったのですが、結果的になんとなく1芯目を赤色にできました。使っていない2芯は、その気になれば裂くだけです。

ケーブルを製作する場合、ターミナルはケーブル1本製作あたり12個、2本では24個必要になります。はんだ付けや圧着の失敗があれば、より多くの部品を消費することになるでしょう。ターミナル購入時は24本+予備を数えて購入は手間です。今回はまとめて100個で買いました。(歳をとって、こういった所をお金で解決できるようになったのは幸せだなあ)

当初は100個単位が店頭になく、通販しようとしたのですが、荷物に不着などの問題がおき、後日に店頭で100個単位で購入しました。

100個パックとはいえ、24個使用すれば 1/4 はすでに使っています。今回は失敗ナシで、無駄が出なかったため、残り76個あるはずですが、3Dプリンタ+電子工作などで何か作るときに利用したいと思っています。

購入から1年以上経過したが、現役スペックで、動かしても拡張しても楽しい P1S

直近では H2C や、 P1S 後継の P2S も販売されており、P1Sは「過去のモデル」となっていますが、自分にとっては P1S はまだまだオモチャ作りで活躍しています。また今回はAMS関連のアップグレードですが、H2Cなどを買ってしまうと、この内容はそのままH2Cに持っていけるでしょう。

購入から一年以上たち販売終了したモデルとはいえ、今回まとめたようなアップグレードに取り組むのも楽しいです。組み立てPCではもはや感じられなくなってしまった楽しさがあるようにーー 8ビット機や16ビット機も楽しく育てていたような人たちはこんな気持ちでパソコンを触っていたのかな、などと思ってみたり。